偏差値に頼らない指導の具体例

ここのところ、偏差値に偏った指導に対する意見をずっと書いてきています。しかしこれだけでは「偏差値を見てはいけない」という、ただの話題作りにしか見えないので、具体的な”偏差値に頼らない進路指導”の具体例を挙げていきたいと思います。

ただし誤解が無いようにしたいのですが、まず私が言ってきたのは「偏差値を見てはいけない」という意図では無く「偏差値しか見ない指導は良くない」ということ。そのため今回書いていく具体例にも、偏差値を見る部分は出てきます。それは何ら矛盾しないものだとご理解下さい。

またその中にも出てきますが、偏差値は状況を見るための”指標の一つ”でしかありません。ならば他の指標をうまく組み合わせることが重要なのです。この組合せ方は決して一通りではありませんので、生徒の状況に合った方法を選択する必要があります。その選択が、指導する人間の腕の見せ所なのですね。

ではいくつか具体例を見ていきましょう。

1,最もシンプルな、志望校合格可能性の判断方法

一部の大学を除き、最近では”合格最低点”というものが公表されています。ならば模擬試験の結果と”合格最低点”の差を計算して、「その差の点数を埋めることができるのか」と考えるのです。この時「どの科目の点数はまだ大きく伸びるけれども、この科目は伸びしろが足りない」などの分析をすることができます。これを元に”どの科目にどれだけの勉強をするのか”という目標を設定するのですね。

この方法では難しい計算は必要ありません。また点数がどれだけ足りないのかを見るだけなので、どんな人でも理屈は非常に分かりやすいのでは無いかと思います。すぐにできる分析なので、ぜひすぐにでもやって欲しい方法と言えるでしょう。

2,偏差値を使わずに、偏差値と同様の考察をする方法

模擬試験の点数を直接見るのではなく、”模擬試験の得点と受験者の平均点の差”に注目するのです。模擬試験では、その試験の難易度・受験者のレベルにより、平均点が大きく変わってしまう可能性があります。平たく言えば「簡単な試験では高得点が出るでしょうし、難しい試験では得点は伸びない」と言えるのです。しかし大切なのは、点数がどのようなものであっても”他の受験生との相対的な得点差”により、合否の可能性が変わってきます。

つまり難しい試験であれば、得点は低かったとしても、全体の受験生の中では上位に食い込んでいる可能性もあるのですね。全体の受験生の点数は”平均点”として均一化されてしまいますので、それと自分との得点差を見ることで”相対的な順位”を把握することができるのです。

実は偏差値を用いて分析をするものが、本来このようなことなのです。しかし偏差値の持つイメージにごまかされてしまって、このような分析をされることは稀なのですね。だったら余計なイメージが無い”得点”や”平均点”で見るほうが、より正確に把握ができると思います。

3,学習プランの設定に対する分析方法

個人的にかなり頻繁に使っている方法がこの方法です。受験雑誌として有名な螢雪時代の11月増刊号に、全国の大学の合格難易度の一覧が掲載されています。特に重要なのは、「国公立大学においては、難易度の表記が”センター試験での得点率”」、「私立大学においては、難易度の表記が”主催団体での模擬試験の偏差値”」で表されていることです。

ほとんどの受験生は、第一志望が国公立大学です。そこでこの”得点率”を重要視するのですね。

もしもその大学の点数配分が”センター試験重視”であるならば、出来る限りこの得点率になるようにセンター試験の目標点数を設定します。また点数配分が”個別試験重視”であるならば、「個別試験が苦手であれば、この得点率よりも更に上を目指し、個別試験が得意であれば、この得点率に達しなくても強気の出願を検討する」のです。

この方法は模擬試験に限った分析にとどまらないのです。実際のセンター試験の結果が出たあとでもその結果を元に修正することも簡単ですし、出願をどうするか・センター後の個別試験対策をどうするか、などの検討の材料にもなってくれるのです。

4,それでもやっぱり、偏差値が一番役立つと信じている!という場合の方法

受験業界での学力偏差値は、その試験結果を感覚的に掴みやすくした数値です。しかしそれが一人歩きしていることが問題。だから偏差値を徹底的に有効活用するというのも、一つの分析方法になります。

受験した生徒の偏差値とその試験の平均点を元にしたら、その試験の標準偏差が計算できます(模試の結果に表記されていることもあります)。そうしたらその値を平均点に加えます。もしもその値を、得点が上回っているならば「おおよそ上位16%の順位を超えている」と判断できます。またもしも標準偏差の2倍の値を平均点に加えた数値に対して、それを得点が上回っているならば「おおよそ上位2%の順位を超えている」と判断できるのです。これを元に、全体のデータの中でどれくらいの位置に点数があるのかが分かるのですね。

ちなみにこの数値の根拠は「模擬試験の点数が正規分布に従っていることを仮定」したものです。そこで完全に一致するかどうかは微妙なところですが、センター試験は母集団が非常に大きくなることも踏まえ、少なくとも目安程度にはなると思います。

・・・ここの記述がチンプンカンプンであるなら、正規分布を勉強するか、偏差値崇拝を捨てるべきでしょうね(笑)

なお、記述自体が納得できても「それだったら試験の”順位”を見るのとどこが違うのか」と思われてしまうかもしれません。大雑把に言うと、ほとんど違いはありません。「偏差値(標準偏差)とはデータの分布を表す」と何度か書いてきましたが、分布を知ることで何が分かるのかというと・・・全体における自分の”順位”に他なりませんからね。

ただし少しだけ違うのは、順位を”割合として”見ているところです。受験者数が変われば、当然順位も変動するはずです。しかし偏差値を元にすると「上位何%には入っている」ということが分かるのです。そのため、模擬試験だけでなく本試験でも同様の位置になるのではないか・・・と予想できるのですね。

この節の最後に、「わざわざ標準偏差から求めなくても、それを分かるようにZ値等で調整したものが学力偏差値なのでは・・・」と感じる方もいるかもしれません。正にその通りです。そこで、そこまで理解されている人ならば、偏差値を正しく活用されていることだと思います。

ということでいろいろと書いてきました。もちろんここに書いている方法は、例でしかありません。また生徒の特性に合わせて指導の内容も変える必要があるでしょう。しかし冒頭書いた通り、このように指導内容を検討し、生徒に対して”ポジティブなアドバイス”をすることが、指導をしている人の腕の見せ所なのです。この中のどれを自分のモノにするのか・・・では無く、いろんな方法を身に付け、生徒に合わせて使い分けることが必要なのですね。

今回の記事を見た受験生や保護者の方は「難しい!」と頭を抱えることでしょう。でも良いのです。こういう内容は”指導をする人”が知っておくべきなのですから。受験生や保護者の方全てに、この内容を理解してもらうつもりはありませんし、その必要はありません。

ただ願わくば、このような難しいことから目を背けて、偏差値に偏った”だけ”の指導を受けて欲しく無いのです。実際にそのような先生の話を聞く度に、本当に悲しくなってしまいますから。そこでみなさんは、こういった中身を理解するのではなく、このような方法があることを知った上で「自分たちがどのような指導を受けるのか」ということを意識されて下さい。

一人でも多く充実した指導を受けられるようになることを、心から願っています!

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