この書籍は物理を勉強する人にとっては、かなり有名なものです。しかしある意味、非常に難易度が高い。そこで意外と中身を知らない人も多いのでは無いかと感じるのです。本当ならばこのような「自分の授業の材料になっているもの」を公開することはもったいないことではあるのですが、このブログはうちの塾に来ることが出来ない方も多く見られています。そこで、「物理がどうしても分からないけれども、どうしたらいいのか分からない」という人のために、この書籍をお伝えしようと思ったのです。
「物理が分からない人のために、難易度の高いものは逆効果なのでは?」と思われる方もいるでしょう。それはこの後の内容で判断されて下さい。
その書籍というものが、中経出版から出ている「漆原晃の物理(※)が面白いほどわかる本」というもの。(※教育課程により科目の表記が変わるため、ここでは”物理”とさせてもらいました)旧課程版の表紙には、『参考書・問題集が合体した”オールインワン”のテキスト!「物理I」と「物理II」がゼロからわかる!』と表記されています。また今回の新課程版では『教科書と並行して使える!基本がしっかり身につく参考書!』と表記されています。どちらも”基本からわかる”ということが強調されていますよね。
実際にその通りだと思います。この書籍で勉強したからこそ書けるのですが、「この書籍だけで2次レベルの物理を勉強する基礎は身につく」と断言出来ます。しかし多様な物理の問題に対応するには、さすがに他の問題集が必要になると思います。しかしいろいろな物理の参考書を見てきた中で、この本ほど”わかる”ということを断言出来る書籍は、他には見当たりません。
・・・ただしこの点は補足が必要なので、それは後述。
では基礎が身につくと書いているのに「難易度が高い」というのはどういうことなのか。それは
○旧課程版
このように、一見するとほとんどマンガの本の表紙にしか見えないのです。中もかなり馴染みやすい文体や表現で書いてあるので、実際にそこまでしっかりと基礎が身につく参考書であるということを”見抜く”ことが難しいのですね(笑)
実はこの難易度は、新課程版では更に上がります。
○新課程版
これは人によっては、書店のレジに持っていくこと自体が高難易度であるかもしれませんね(笑)・・・もちろん、この表紙を批判したいのではなく、むしろこの表紙によって中身を見たことが無い人に対して、内容が充実していることを知ってほしいのです。いわゆる萌系のイラストは、絶対に好みが分かれますからね。
画像でも分かる通り、このシリーズは分野別に3冊に分かれて出版されています。だから苦手な分野の補強として一冊ずつ使ってもいいでしょうし、理解している分野に関して”より進んだ物理の解答方法”を身に付けるために全巻使ってもいいと思います。
この書籍を、出来れば書き写すくらいまで勉強すれば、2次試験の物理の問題にすぐに手を出すことが出来ます。ただしさすがに、これだけで全ての問題に立ち向かおうとするのは、少し負担が大きいと思います。そこでこの本をスタートとして、本格的な問題集に手を付けて欲しいのですね。
さて前述の補足について。物理を勉強している人なら分かると思いますが、高校物理は「高校のように微積分をほとんど使わないようにする」という理解の仕方と「実際の物理のように微積分を元に理論構成していく」という理解の仕方があります。上で紹介した書籍は、この2つの中で前者に当たります。後者の理解のためには他にも良い参考書があります。今後機会があれば、紹介していけたらと思います。
・・・個人的には、河合出版の「物理教室」あたりが、非常にバランスが取れていて良い参考書になっていると思います。しかし初学者には少し難しいという印象を与えてしまうかもしれませんが。
ということで、今後の勉強の参考にしてもらえればと思います。もちろんですが私は、こちらの出版社や著者と一切の面識は無いので、あくまで今回は「自分にとって最も役に立った参考書」というものを紹介しているに過ぎません。またあくまで”私にとって”役に立ったということなので、他の人の感性からすると苦手だと思う方が出てくるかもしれません。その時には自分にあった参考書をお薦めします。
良い教材も大切ですが、最も重要な事は「実際に勉強する」ということ。ぜひ自分にとって勉強することが出来る、また後の勉強がスムーズになる参考書を探して下さいね!