卵が先か鶏が先か

高校受験のレベルであっても大学受験のレベルであっても、図形問題は受験生にとってかなり解きにくいものです。これを克服させるためにどういう内容を教えていくべきなのか、この事を少し前から考えていました。

そして行き着いた先が「何度も図を描くこと」です。いやまあ、当然の帰結と言えますけどね。

この狙いは大きく2つ。「図をきれいに描くこと(描けるように練習すること)」と「図形の情報を減らすために、すぐに描きなおすこと」です。今日はこの前者について書いてみようと思います。

私は以前まで、図をきれいに描くことはそれほど重要視していませんでした。私自身が絵心がないということも理由の一つですが、数学を専門でやってことにより、具体的な図形よりも抽象化された対象を扱うほうが、より本質的だと思っていたのです。

思えば大学で、三角形の合同や相似などを扱った記憶がありません。個人的に古書店で射影幾何の専門書を購入し、一人で悦に入っていた程度でしょうかね。それよりも微分幾何や代数幾何、位相幾何など、解析手法を用いたり代数化されてしまった対象を扱う方が多かったのです。

このように具体的でない図形においては、きれいな図を描く必要はかなり少なくなります。位相幾何に至っては、図形としての形すらほとんど意味を成さないものですからね(もちろん、不変量に応じた図形の分類は出てきますが)。だから大学受験などの図形に関しても、あまり図形的な考察に持ち込まず、微分積分によって解析的に解いてみたりベクトルによって代数的に解いたりしていたのです。こちらの方が大学の内容に近いため、より”本質的”だと思っていたのですね。

ところが高校入試では、いわゆる合同や相似、平行線や三角形など、具体的な図形を扱うことが非常に多い。また高校での現行教育課程によって、中学校でやるような図形問題がセンター試験にも大きく出題されることになりました。このような問題に触れていくと、抽象化は正解から逆行することが多かったのです。

よく「図形問題の補助線なんて、どうやったら見つかるんだろう」という受験生の嘆きを耳にします。これに対する答えは非常に簡単で、”補助線を引く経験を増やせばいい”。経験が少ないのにそれほどポンポンと見つかるはずが無いのです。そしてこのような経験を積むためには、ある程度しっかりとした図の中で考える必要があります。だからサラサラときれいな図を描けた方がいいのですね。

このような事を考えていると、私の中で、具体化→抽象化→具体化→・・・という堂々巡りが始まったのです。具体化と抽象化のどちらが先で、どちらを目的とすればいいのかという、”卵が先か鶏が先か”みたいなものですね。この思考の行き着いた先が、冒頭の内容になるのです。

問題に対するアプローチはいろいろな方法があります。「図をきれいに描こうとするあまり、余計に時間がかかってしまって計算の時間が無くなった」とか「そもそも立体図形に対しては、どんな図になるのか分からない」とか、上記の内容に反する経験や意見もあることでしょう。そのため、あまり図をきれいに描くことに固執しない、という指導があってもおかしくないと思います。

ただ、やはりすぐに図を描くことが出来るようになると(またそれくらい練習をすると)、図形問題は格段に楽になります。少なくともこれは間違いないことなので、少しでも図形の問題が解けるようになりたければ、ぜひやってみるべきだと思いますね。

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