中学までに比べて、高校では圧倒的に「自習の重要度の割合」が増えます。扱う勉強の難易度が上がるだけでなく、その分量も中学までの比較にならないくらい増えるのですから、当然のことと言えるでしょう。
この自習の重要度は、塾や予備校に通っていても同じことです。そういうものの授業だけで成績は上がらず、その授業から得た知識を自習のときにしっかりと練習することで、ようやく定着をしていくのです。だから「自分で力をつけよう」と考えておかないと、学力は伸びないのですね。
私がたびたび「塾に行けば成績は上がる、とは考えないように」と書いているのはそういうことです。「塾は成績を上げてくれるところ」では無く「塾で学んだことを使って、ようやく成績が上がる」のです。・・・だから、塾は無駄だと言っているわけでもありませんよ(笑)
しかし自習においては、分からないところがあるとそこから先は手が出せなくなりがちです。そういう時に力になるのが参考書なのですね。
昨日紹介したフォーカスゼータに、そもそもの日常学習における参考書の位置づけや学力定着までの勉強例をまとめた、「参考書の使い方」というコラムがあるのです。これがとても完成度の高いものなのですね。
「定期考査の問題は解けるけれども、摸擬試験や入試問題などの応用問題は全く分からない」・・・このように嘆く生徒は多いものです。そういう思いに対して参考書の方から、その原因は何なのか、そしてそれをどのように解消すべきなのか、ということをまとめてあるのは、極めて稀なものだと言えます。
こういう流れの中で、この本では「参考書は基本レベルから標準・応用レベルまで引き上げてくれるもう一人の先生みたいなものです」と書かれています。まさにその通りだと感じますし、だから私はいろいろな参考書を手に取っているのです。一人ひとりの生徒に対してそれぞれ合う先生がいるように、一人ひとりの受験生に対して合う参考書もあるはずですからね。
またこの「参考書の使い方」は、上位版であるフォーカスゴールドにもあります。が、そちらの方はこの内容においても上位版で、ほぼ同じ内容ながら文字でびっしりと書いているため、なかなか高校生には伝わりにくいものに見えます。フォーカスゼータの方が、イラストが交えてあったりコンパクトにまとめてあったりと、扱いやすさにおいて優れているのです。
だから昨日も書いたように「全ての高校生に読んでもらいたい」と感じるものなのですね。
数学の参考書なのですから、どうしても数学の内容に目が行ってしまいます。けれども実際には、それ以前の段階・・・その本をどのように使っていくのか・・・で、その本の価値は大きく変わってきます。そういうところもきちんと啓蒙しているこの本は、とてもレベルの高い参考書だと言えるでしょうね。
冒頭に書いた自習の重要度は、数学だけに限ったことではありません。それと同様、このフォーカスゼータに書いてある「参考書の使い方」は数学に限ったことでは無いのです。他の科目においても、きちんと自習をしてしっかりとした学力を身につけてもらいたい。だから良い参考書≒いい先生に巡りあって欲しいと思っています。