今日の東京新聞の記事から

今日の東京新聞に次のような記事が掲載されました。

日本の算数・数学大丈夫?

(全文を読むことは出来ませんが、どのような内容なのかは伝わると思います)

個人的に数学が好きで、また仕事として数学を教えている自分としては、残念なことに今の現状を見ると「大丈夫なわけがない」と言わざるを得ません。その理由は、このブログに度々出てくる投稿内容で伝わると思います。・・・というより、こういう憂いがあるので、何度も同じような投稿が出てきてしまうのです。

けれどもこのような「はじき図」や「くもわ図」の批判に対しては、往々にして「便利な公式を使って何が悪い」「理屈が分からなくても、まずは解けるようになってモチベーションを上げるべき」「みんなが数学者になるために勉強しているのではない」など、いろいろな反論が出てくるものです。

このような論を投げかけてくる方々は、どうも「ツールを使うメリットとデメリットのバランスを考えている」とは感じられません。ほとんどの場合「こういうメリットがあるからいいじゃないか」という流れになっているのです。

私も、生徒たちが「中学校の勉強を一切せずに、小学校の勉強だけでこれからの人生を生きていく」のであれば、きっと批判しないと思います。ただ中学生以上の数学を教える際には、概念の理解の程度によってはものすごく大きなデメリットが生じるのです。

ここで少しだけ具体的な話をしましょう。例えば「はじき図」を使う時には『分からない量を隠してみると・・・』みたいな説明がよく為されています。「分速40メートルで360メートル移動した時にかかった時間は?」ならば、”じ”を隠して”き/は”にする、みたいなことですよね。

これが中学1年生で出てくる方程式の文章題になると、具体的に分からない量が2つになるのです。例えば手元の問題集にこのような問題があります。

弟は、家から学校に毎分120mの速さで出発し、兄は忘れ物を届けるために10分後に家を出発し、毎分200mの速さで追いかけた。兄が弟に追いつくのは兄が出発して何分後か、求めなさい。

さてこの問題文を見ると、具体的に数値がはっきりと分かっているのは”速さ”だけですよね。それなのに「はじき図」をそのまま使えますか?

このような文章題を解くためには、
① 未知数xを設定する
② xを用いた式で別の量を表す
③ 条件に従って等式(方程式)を立てる
④ 方程式を解き解答を求める
というプロセスが必要なのです。それなのにこれまで「はじき図」を使うだけで結果の数値のみを出してきた生徒は、どの段階で、どのように「はじき図」を使えばいいのか分からなくなってしまうことがあるのです。それもかなりの頻度で。

ただもちろん、こういうものでも「はじき図」を使ってこのプロセスを実行出来る生徒もいます。またそういうことが可能なので、私も「はじき図」でこのような問題の解説をすることも出来ます(おそらく実際にすることは無いでしょうが)。

だから(生徒に対して)「やってはいけない」と全否定はしません。しかし理解の程度によるデメリットというものは分かってもらえるのではないでしょうか。

インターネットが普及した現在、いろいろな分野の指導法を検索してみると、たくさんの「はじき図」の亜種を見つけることが出来ます。そしてその多くが「いかに”図を覚えるのか”」とか「いかに”図に使う数字を読み取るのか”」ということに終始しているのです。先ほどのようなデメリットに向き合うこと無く「○○という言葉の後には、この数字が出てくる」みたいな指導法が数多く扱われているのですから、日本の算数・数学は「大丈夫なわけがない」ですよね。

ちなみに、「はじき図」で言っていることも「くもわ図」で言っていることも、端的に表すと”比例関係”(または”反比例関係”)を表しているに過ぎないものです。だったら『なぜ比例関係になるのか』ということを理解すれば、結局は”ほぼ同じこと”を言っているのです(だから同じ図になるのです)。だったらその理解の方が、いろいろな図を一つ一つ覚えていくよりも楽だと思うんですよね。

だからうちでは、理解に向けた指導を続けていきます。

※ちなみに途中で引用した問題の答えは、15分後です。

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