2020年度以降の大学入試において、英語では四技能(Reading,Writing,Listening,speaking)の修得を重視し、特に民間資格試験を導入することが進められています。ブログを更新していなかった期間もその議論は続き、最近ではマスコミにも取り上げられ始めました。
この点に関する是非はまた改めるとして、今日は「英語のリスニング対策」というものについて書いてみようと思います。
私が思うに、広く一般的に言われている「ネイティブの発音を聞いていれば分かってくるんだよ」という意見は、リスニング対策としては不十分です。まして某教材のように「ただ聞くだけで~」というのは論外でしょうね。
なぜなら生徒たちにとって、もっと手前のところで躓いていると感じるからです。すなわち「ちゃんと聞き取れたとしても、その英文の意味が分からない」のですね。だから聞き取れたかどうかも判断できず、それでいて正解率が低いので「(なんとなく)自分はリスニングが苦手なんだよなあ」と思ってしまうわけです。
まずは、リスニングの問題に使われる程度の英文を、ちゃんと理解出来るようにならないといけないのです。それらの意味が分かるようになって、初めて「ああ、こういうことを言っているのか」というのが納得出来るでしょうからね。
例えば、ちょっと癖のある歌い方をするアーティストがいたとしましょう。・・・誰とは言いませんよ。あくまで”仮定”です(笑)
そのボーカルをちょっと聞いただけだったら「これ、なんて歌っているの?」と思ったものも、歌詞カードを見ながら聞いてみたら「確かにそう歌っている」と聞き取れた。こんな経験は、誰しも一度はあるのではないでしょうか。
つまり「分かる」から「聞ける」のです。そういう状態に持っていくことが、まずは最初のリスニング対策ですよね。
そしてもう1点。本当の意味でのリスニング対策とは、「生徒自身に”聞こう”と思わせること」だと考えています。
何の目的もなくただネイティブのスピーキングを聞いていても、なかなか頭には入ってきません。それは耳に入ってきている音声を、ただ受けることしかやっていないからです。もしもちゃんと聞くのであれば、自分から聞き取ろうとしないと分かるようにならないのですね。
そこでうちで実践してみたのが次の本、
これに付属している音声CDに、ネイティブがワンフレーズずつ間隔を空けながら読んでいく、というものがあります。それを使って、うちに来ている高2生に「ネイティブの発声に続いて言わせる」ということをさせたのです。
最初の1~2回はついていくのがやっと。けれども少しずつ落ち着いて発声出来るようになり、7~8回ほど繰り返したらほぼもたつくことがなくなりました。その後で英検準2級レベルのリスニング問題をさせると・・・その音読をする前とした後であまりに聞き取りやすさが変わったことに、生徒たちが全員驚いていたのです。
分かっていただけるでしょうか。これは「読まないといけない」ので「きちんと聞かないといけない」とつながっているのです。聞くということが目的なのでなく、言うということが目的なので、自然と自分から聞かないといけなくなっているのです。
そういう感覚に慣れてくれば、ようやく冒頭にあったような「ネイティブの音声を~」となるわけなのです。
生徒たちは、9割9分が日本語である環境で暮らしています。その中で、ちょっとだけ音声を”ながら聞き”する程度で語学は学べません。その手前の姿勢を作ってあげること・・・それがリスニングの対策であり、生徒たちのための英語指導ではないでしょうか。
ということで今日はここまで。明日は「長文問題集に付属している音声CD」について書こうと思います!