「頭の体操」から

以前も書いたように、私は小さい頃から多湖輝氏の「頭の体操」が大好きでした。今日はその中から一つの問題を。

次の□に入る文字はなにか。 (制限時間5分)
赤=アカ
音=オト
鰊=ニシン
牛=イス
犬=□□

・・・

最近よく書きますが、生徒の中には「『問題ごとに解き方を覚えていく』のが勉強である」と思っている子がいます。もちろん”全くできない状態”から”少しはできる状態”になることを目的にしているのであれば、それもまた一つの考え方と言えるでしょう。ところがそういう生徒は、そもそも勉強というものは『問題ごとに解き方を覚えていく』ことだと信じているのですね。

そういう生徒に私はよく問いかけます。「君は、これから目の前に現れるすべての問題について、一つ一つ解法を覚え、それを忘れないようにするの?・・・そんなことって出来ると思う?」と。

勉強が進みいろいろな問題にあたるようになると、いつかは暗記するキャパシティを超えてしまうはずです。そうなったとき、暗記”しか”勉強する術が無かったら、もうその子にとっての勉強は破綻してしまうのです。私はそうなるのを出来る限り防ぎたいと思っているのですね。

考え方の基本となることを理解し納得していれば、似たような問題は同じようにアプローチできます。一つ一つの応用問題を、同じ基本に結びつけることが出来れば、そこから問題演習の効率は飛躍的に向上するのです。・・・これが、勉強が”出来る”ようになるための最短コースだと思うので、私はそう指導していっているのです。

そのためにはある程度の、物事の抽象化が必要になります。各々の問題に共通するような関係性であったり規則性などが見つけられれば、その部分を理解することで統合して把握することができるのです。具体的な事象に振り回されずそういうものを見つけるためには、抽象的なポイントを掴まなければいけないのですね。そしてそれをするためには、普段から「物事を抽象化する」ということを試し、訓練しておくべきなのです。

さて冒頭の問題。こういうものは、「□□に何が入るのか」ということだけを考えていては解けません。5つの関係をすべて見渡し、全体に共通する”規則性”を見つけないといけないのです。そして、その規則性に従えば「□□に何が入るのか」が分かるのです。この問題では左に並んだ言葉をそのまま見ているだけでは解くのが難しい。これを”ローマ字表記”すると、その規則性がだんだん見えてくるのではないでしょうかね。

『問題ごとに解き方を覚えていく』のは、この問題において「どうして”赤=アカ”なんだろう」としか考えないようなものです。そしてその結果「よく分からないから覚えてしまおう」となってしまう・・・これをいくつ重ねたとしても、未知の「犬=□□」にはずっと手が届きませんよね。

最初からこのような思考をするのは難しいかもしれません。しかし「難しいから暗記するしかない」と投げ出してしまうのは、もっと難しいことを自分に強いることになるわけです。そうならないように、普段から頭を鍛え、そういう思考に向けて勉強すべきなのですね。・・・文字通り「頭の体操」です!

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