基本は大切・・・なのですが

最近は推薦やAO入試を意識してか、教科書の練習問題~章末問題レベルの問題集が数多く出版されています。それ自体は全く問題ないことではあるのですが、どの出版社からも同じような本ばかり出てくるので、少し残念な気持ちになってしまうのも正直なところです。

私が前職に勤めていた頃は「いかに上位校に合格をするのか」みたいな流行りがあり、目にする参考書や問題集もかなり本格的な内容まで踏み込んでいたように感じます。その中には基本的なレベルのものもあるのですが、上を見たらキリが無いような、様々な方向に特化したものが多かったものです。そうなると自然に、多種多様な参考書が生まれ、教材研究の時間もとても楽しくなったものです。

今でもそういう”尖った”ものもあるのですが・・・相対的にはずいぶんと少なくなってしまったように感じます。

さて、基本的な内容を扱った参考書や問題集が増えると、自然と「表面的な”やさしさ”」をウリにするものも増えてきます。「難しいことはやらなくていい」とか「○○は暗記すればいい(または、暗記しなくてもいい)」とか、勉強が苦手な人たちへの甘いささやきが散りばめられているのです。

もちろん、基本が大事なのは言うまでもありません。しかし甘いささやきに転んでしまった人たちは、そういう意味での基本を習得しようとは思っていないはずです。「この本に”これだけやっていればいい”と書いてあったから、本当にそれだけをやっている」みたいな人が少なくないのですね。

しかし「○○しなくていい」ばかりを追求していて、果たして学力は身につくのでしょうか。例えば英語なんかで

『コミュニケーション重視の教育が主流になるから、文法は勉強しなくていい』
『ネイティブのスピーキングを流し聞きし続けていたら、自然と自分も話せるようになる』
『文章の前後から判断することが出来れば、膨大な単語を覚える必要はない』
『理屈が分からなくても、問題集を何度もやって覚えればいい』

こういう言葉を全部実行してしまったら・・・おそらくまた「何となく分かる気がするけど、結局は身につかない」という人が増えることになるでしょうね。

ちゃんと勉強の中身を身につけようと思うのであれば、ある程度負荷のかかる、難しいものと向き合う必要が出てくるのです。特に理系科目は、ちょっと見ただけでは解法の見当もつかないようなものと、長い時間をかけて格闘することも大切なことなのです。勉強の効率としてどうか、という意見も出てくるでしょうが、そういう勉強でしか身につかない経験というものがあるのも事実なのですから。

基本を扱った問題集を否定したいのではありません。基本の勉強を否定したいのでもありません。
ただ、もしもそれが「難しいものはやりたくない」という気持ちに乗っかったものであり、かつ逆にそういう気持ちを助長させるものであれば、ちょっとそれは違うだろうと感じるということなのです。

っていうか、「難しい問題と格闘する」って楽しくないですか?(←個人的な感想です)

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