他の科目でも同じことが言えるかどうかわからないので、あくまで”私が数学の授業をしているとき”の前提で書いていきます。
「先生が授業中に書いた板書をノートに写す」・・・当たり前の勉強方法に感じると思いますが、これを一生懸命やっている生徒は大抵”伸びません”。
もちろん、授業内容をあとから復習するため、このこと自体が悪いわけでは無いのです。しかしノートを写すことに集中してしまう子は、写すこと自体が目的になってしまっていることが多いのです。そうすると自然と、勉強の内容を頭に入れていくことよりも目の前の板書を写すことを優先し、結果として頭の中には何も入らないということになってしまうのですね。
また過度に「ノート整理にこだわること」も考えものです。確かにそういう作業が好きでやってしまう生徒もいますし、そういう子はノート整理によって勉強の内容も身についていくことでしょう。けれども大多数の生徒は、そういう作業があまり好きではなく苦手と感じているものです。そういう苦痛を長時間強制したら、勉強がどんどん嫌になり、成績が上がるどころの話ではないでしょう。
できる生徒は、ある程度の考え方の説明がされたら、自分で計算を始めています。そして先生が板書した答えと自分の結果を照らし合わせ、間違えていたら修正します。つまりノートに書いている時点で、そのときの考え方を受け入れ、それを練習し始めているのです。だから他の人のペースよりも、一歩も二歩も早いペースで勉強が進んでいくのですね。
とは言え、『けれどもそういうことは頭が良い人ができることであって、自分は先生の説明を聞いてすぐには分からないから』・・・こう考えてしまう人、きっと多いのではないでしょうか。
厳しい言い方をすると、そう感じてしまうのであれば「すでにその手前に分からないことがある」はずです。だから早急に、そちらのケアをするべきだと言えますね。前段階が分からないのをそのままにしているから、その後のことが納得できなくなってしまう・・・まあ、当たり前の話です。
さらに、こういう”分からないところを後回し”にすることに慣れてしまうから、次の段階でもよく分からないまま後回しにしてしまうのです。その結果分からないところが山積みになってしまって、試験前にどうすることもできなくなってしまうのですね。
分かっていただけるでしょうか。ノートを書くことには、その時点で自分が納得出来ているのかどうかのチェックができる、という意味があるのです。先生の話に合わせて自分で問題が解けるようであれば、そこまでの理解は十分なものなのでしょう。しかし説明を聞いてすぐの状態で手が出せないのであれば、その時点で復習すべきポイントが掴めるはずなのです。
・・・そもそも、説明を聞いてすぐに分からなかったものが、時間が経ったら自然に分かるようになった、なんてことはあり得ませんよね(笑)
さてそろそろ結論。ノートを写すことに躍起になっている状態では、先生が何を話したのか、自分がそれを納得しているのかどうか、などということは意識できません。ある意味「思考停止」の状態で、ノートを写すこと”しか”できなくなっているのです。それは非常にもったいない。
ノートは、授業や説明の内容をあとから思い出せるものであれば、あまり神経質になる必要はありません。ぜひ自分の理解・納得を目的として、勉強を進めてみてください。
・・・なので私は、必要以上の”ノート整理”の類の課題は反対です。