正しいの?正しくないの?

(お詫びと訂正)
こちらの記事が某掲示板に引用されていました。
それは決して悪い意味ではなく、純粋に内容に不備(というより理解不足)が
あるとの指摘でした。
こちらの記事に関しては、削除するのが妥当かと思いましたが、
自戒の意味を込めて、部分的に訂正する(訂正線を入れる)ことに留めておきます。
また表現についても、大きく誤解を与えるもの、解釈が変わってくるものもありますので
その点は申し訳ありませんが、ご留意ください。
混乱をさせてしまった方々に、深くお詫び申し上げます。
(10月6日記)

よく数学について「数学は答えがきちっと出てきて、必ず正しいものである」と信じられています。
しかしこれって、本当に疑問の余地は無いのでしょうか?
本当に数学って正しいものなのでしょうか?
今日のお話は、かなり分かりにくいものを扱ってみたいと思います。

まず背景にあるのは、次のような文章です。
「もしも天と地がひっくり返ったら、あなた(今ご覧になっているあなた)は私の子供である」
この文章って正しいでしょうか?
私には子供は娘一人しかいませんし(笑)、娘はこれを読んでいないと思います。
なので一見するとおかしい文章なのですが、ただ「論理的には正しい文章」なのです。
なぜなら、仮定である「天と地がひっくり返っていないから」。
もしこの仮定が満たされているならば、完全に間違っている文章なのですが、
仮定が満たされていない以上、どんな結論でも出てきてしまいます。
つまり「仮定が間違っていれば、どんな結論になっても『論理的に正しい』もの」になってしまうのです。

ではもしも、「数学の一番基礎の部分が間違っていれば、そこから導かれた結論は真偽不明」となってしまいます。
さらっと書きましたが、これは大問題!今まで築かれてきた数学が、全て崩れ去ってしまいます。
実はこんなことが、20世紀に入ってから考えられるようになったのです。

しかしここで、一人の天才が現れます。
彼の名は、クルト・ゲーデル。ドイツの”論理学者”です。
彼は若干23歳にして、「完全性定理」というものを発表します(1929)
完全性定理を厳密な形で書くと、完全に宇宙語になってしまうので簡潔にまとめると、
「数学には矛盾が無く、それによって得られた結論は正しい」
ということが示されたのです。

これでやっと胸をなでおろしたその矢先、また事件が起きてしまいます。
「完全性定理」の2年後、同じゲーデルが次のような「不完全性定理」を発表したのです。(1931)
(これまた簡単に言い直しますが)この定理は2つに分かれており
1、「数学では『証明可能』か『証明不可能』かが分からない命題が存在する」
2、「数学は、数学の範囲内で自分に矛盾が無いことを証明できない」

ということが分かったのです。

さあ、ここで分からなくなってきますね!「完全性定理」で矛盾が無いことが分かったのに、
その矛盾が無いことを証明できないって言うんです。
結局数学って、正しいんでしょうか?

これをちゃんと理解してもらうために、まず結論から書いておきます。
「数学は正しいのです。正しいものだからこそ、無矛盾を証明できなくなるんです!」
いいですか?ここはよく誤解をされているところで、テレビにもよく出ている
有名な学者さんでも、誤った解釈を雑誌に載せてしまうくらいなのです!

理屈はこういうことです。
よく子供向けの本に書かれている文章ですが、「私は嘘つきである」というもの。
(ここで”嘘つき”とは、絶対に嘘しか言わないことを表します)
この文章、おかしいですよね。
もしも私が正直ならば、嘘つきであるという結論が誤っている。
もしも私が嘘つきならば、結論として正しいことを言っているのでやはり誤っている。
つまり正直でも嘘つきでも、どちらでも矛盾が起きてしまうんです。
こういう命題を「(自己言及型の)パラドックス」と言います。

実はこれが本質的な部分です。
数学には矛盾が無い。つまりしっかりとした論理体系ができているのです。
だからもし「矛盾がある」としても、数学自身はそれを「正しい」とも「誤っている」とも
言えないことになるんですね。

なお、「証明可能」か「証明不可能」かが決定できないことが分かっている問題として、
「連続体仮説」が有名です。(1963)

以上のことから、まず冒頭に提起した「数学は正しいのか」については
しっかりと「矛盾が無い」ことが示されているので、紀元前から研究されている数学には
ちゃんとした意味があることが分かりました。
しかしその議論が厳密であるからこそ、矛盾か無矛盾かを決定できないのです。
・・・何だか変な感じですよね!

ここで少し補足(この部分は流してもらって構いません)。
ここで言う数学とは、「自然数論」を基礎としたものになっています。
基本的に、普通の人が接する機会がある数学はこれに当たるので、詳細は省きましたが
厳密には「不完全性定理」が当てはまらない数理論理体系を作ることも可能です。
しかし・・・実用性はほぼ皆無でしょうね。

ということで今日は、当たり前と思っていることにも疑問を持ってもらうために
このようなお話を書かせてもらいました。
ただくれぐれも「数学は矛盾を抱えている・・・」なんて思わないでくださいね!
ここで書いたことは、ほとんどの人が感じている「数学って正しいだろうけど、数学で全てのことが
分かるわけじゃないよね」なんていう、ごくあたり前の結論とほぼ同じなんですから!

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