大人になるとしっくりこない「鶴亀算」

「鶴亀算」という計算方法をご存知でしょうか。
もはや学校の授業として「鶴亀算」を、一般的な計算として勉強することは無くなっていると思います。
そこで、中学校入試などを目指している受験生(つまり小学生)や、その周りにいる人程度しか
ちゃんと知っている人はいないのでは無いかと思います。
・・・あ、もちろん、ハイレベルな算数や数学を勉強した方もご存知かと思います。

さて、私はどうも「鶴亀算」ってしっくりこないんですよね(汗)
すでに頭の中が連立方程式で解くことに慣れてしまって、なかなか「鶴亀算の方が効果的」という
状況が思いつかないのです。

鶴亀算とは、簡単に言うと連立方程式で解くような問題を、小学生のように未知数xなどを
用いること無く、計算する方法なのです。
本来算数の範囲では、未知数をできる限り使わないようにしています。
しかし鶴亀算というものがあるために、中学校入試などでも連立方程式で解くような問題が出題されるのですね。

では一例を挙げましょう。

ここに鶴と亀が合わせて20匹います。ここで足の数を数えてみると54本でした。
鶴と亀はそれぞれ何匹ずついるのでしょうか。

連立方程式が使えると、非常に簡単に求められます。

鶴がx匹、亀がy匹いたとすると、問題の条件は
  x+y=20
 2x+4y=54
と表されるので、これからx、yを求めるとx=13、y=7となる。
したがって、鶴は13匹、亀は7匹となります。
(念のために。鶴の数は、説明がわかりやすくなるように匹で表しています)

ただしこれは中学校以上での解き方。小学生は未知数x、yを使うことができません。
そこで小学生が解くとしたら、次のような解答になるのです(これが鶴亀算の具体例です)。

もしも20匹全てが亀だった場合、その足の数は
 20×4=80
しかし実際の足の数は54本なので、亀から鶴に置き換わる足の数は
 80-54=26
鶴の足は2本であるため、鶴の数は
 26÷2=13
よって亀の数は、合わせて20匹であることから
 20-13=7
したがって、鶴は13匹、亀は7匹となります。

いかがですか?大人になると「もしも全部亀だったとしたら・・・」なんていうところで、
すでに疑問が生じるのでは無いでしょうか。
連立方程式よりも、鶴亀算の方がしっくりくる方ってどれくらいいるんでしょうね。

鶴亀算の本質は、鶴と亀の足の本数の差です。
全部亀だった場合、その足は全部で80本。
ここで鶴と亀が一匹ずつ入れ替わると、その足は亀の4本が鶴の2本に置き換わるので、合計78本になります。
さらに鶴と亀がもう一匹入れ替わると、その足は76本になります。
こうやってどんどんと入れ替えていくと、足の合計はどんどん少なくなってきます。
そしてその合計が、問題の条件に一致する時を探した・・・というのが、鶴亀算の考え方です。

鶴亀算自体は、日本で古くから伝わっている、非常に優れた計算方法だと思います。
しかし上に書いたような、ちゃんとした理屈から鶴亀算を理解している小学生は、かなり少ないと思います。
大半が「こうすれば計算できるから」ということで、中学校受験に備えて身につける・・・というものだと感じるのです。
そこに本来の「鶴亀算の良さ」というものが、失われてしまっているような気になるのです。

ただしその良さまで小学生に伝えようとしても、現実的には非常に難しいと思います。
だから・・・私は鶴亀算がしっくりこないんですね。

面白いことに、私の世代が大学受験をする時には「受験のための詰め込み教育」がかなり批判されていました。
それから以前もお話しした「ゆとり教育」という方針が生まれたのです。
ゆとり教育だけの問題では無いと思いますが、現実として世界で見た時に日本の学力は以前より下がっています。
でもそれを危惧するがゆえに、まだ小さい時から「私立中学校」や「私立高校」に率先して
進学をさせようとする状況が、現在進んでいます。

つまり・・・昔の受験戦争と呼ばれたものが、どんどん低年齢化しているのですね。

私はもしも小学生に鶴亀算を教えることになったら、意地でも理屈から教えます。
詰め込み教育を批判したいわけでは無く、年齢の低いうちから「理屈を考えずに問題を解く」ような
ことをやっていると、その弊害の方が大きいと感じるからです。
小学生にちゃんと理屈を納得させられる教え方が分かったら、その時にようやく私自身も
鶴亀算に”しっくり”くると思います。

もちろん、今回の内容は「鶴亀算」や「中学校受験」を批難したいのではありません。
しかし目的と手段が混乱してしまうようになっている現状は、残念だと思うんですね。
私も頑張って、機会があれば「ちゃんと理屈を踏まえた鶴亀算」を教えていきたいと考えています。

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8 Comments

  1. Leiney

    小5です。今の小学生は結構xやyも使いますよ。私は意外と簡単に覚えました。

    Reply
    1. nabe (Post author)

      Leineyさんへ、コメント本当にありがとうございます!

      そうなんですね、今は小学生でも扱うものなんですか。
      それにしても、簡単に覚えられたのであれば非常に優秀だと思います!
      ぜひこれからも勉強に励んでくださいね。

      でも考えてみたら、Leineyさんの名前にも”y”が入っていますよね!(笑)

      ではこれからもよろしくお願いします!

      Reply
  2. https://www.google.co.jp/search?q=%E6%A1%88%E5%B1%B1%E5%AD%90&hl=ja&rlz=1T4GGNI_ja___JP534&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwiC-PDPy5HPAhVB_WMKHaVzA9sQ_AUICCgB&biw=1103&bih=462

    https://www.youtube.com/watch?v=q-YWPosTX1M&list=RDq-YWPosTX1M#t=15

    > 雉も鳴かずば撃たれまい

    白い壁を伝い歩きしなけりゃよいのに ...
    先ほど ムカデが 何が目的か不可解だが 目立つ 白い壁を
    足並みをそろえて 歩んでいた。で;

    鶴と亀と百足と案山子が合わせて216個体いて、その足の数はがんばって 数え全部で18465本であった。鶴と亀とムカデとカカシはそれぞれ幾ついますか。わかりやすく教えてくださいお願いします!

            (最近 不定方程式が 流行る ....)
    [讀んで字の如く百足の足は100とし、案山子は一本足とします]

    Reply
    1. nabe (Post author)

      コメントありがとうございます。

      不特定多数に向けての塾のブログという性質上、一つひとつの問題に解説や説明をしていくことは出来ませんので、今回のみ私が計算した結果だけ書きたいと思います。

      (鶴,亀,ムカデ,案山子)
      =(0,11,184,21)
      (3,10,184,19)
      (6,9,184,17)
      (9,8,184,15)
      (12,7,184,13)
      (15,6,184,11)
      (18,5,184,9)
      (21,4,184,7)
      (24,3,184,5)
      (27,2,184,3)
      (30,1,184,1)

      私はムカデの数を確定させることから始めました。

      >> 雉も鳴かずば撃たれまい

      アドバイスありがとうございます。私への言葉として、真摯に受け止めたいと思います。

      Reply
  3. Toshi

    アルバイトで中学受験に関係する経験をしました。現状の鶴亀算を含む算数の中学受験教育にどんな意義があるか検索したところ参考のブログになりました。

    Reply
    1. nabe (Post author)

      コメントありがとうございます!

      私は数学を専門にしていましたが、実は中学受験のことはあまりよく分かっていません。そこで完全なる素人目線での記事ではあるのですが、参考にしていただけたのであれば良かったです。

      今後ともどうぞ、よろしくお願いしますね。

      Reply
  4. 里見千尋

    こんばんは。前置きなしで本文です。
    入れ替えると合計が減少して・・・というパターン,高校の化学であります。
    今年(2016年)の中央大学の第3問(5),オゾンの生成により全体の体積が減少するというパターンの問題です。
    →【旺文社】大学入試問題正解:p.284
     【数研出版】2016化学入試問題集:80番の問題。p.59
    ですが,両社で解説がきれいに分かれています。
    ・量的関係の表をつくり,未知数をxとおいて解く方法:旺文社
    ・体積の減少量が酸素(反応物),オゾン(生成物)のどれだけの変化量に該当するのかを考え,方程式を立てずに求めていく(比例計算)

    議論はありましょうが,
    汎用性のあるのは表をつくって解くやり方(量的関係の問題のほぼすべてのパターンで使える方法)
    慣れれば時間の圧縮になるのが未知数をつくらないやり方(ある意味ショートカット)
    となります。

    解説する際は表をつくる方を優先しますが,手元でちゃちゃっと計算する場合は比例計算を使ってますね。まあ,反応物,生成物がどちらも単体の気体という特殊ケース限定で使える方法で,問題文に「酸素とオゾン・・・」と書いてあったら,その時点でこのパターンの問題を出そうとしているな,とピンとくるくらい,限定された解法ではあります。

    同様に「差分」を使った問題となると,2008年の東京大学の第1問Ⅰで氷と水の体積の差を用いて発熱量を測定する問題(『25カ年』の総合問題の項にあり。氷熱量計の問題。科学史を踏まえた問題でもある)がありますが,ここまでくればもう素直に未知数をxと置いて解くことになるでしょう。

    以上,久々に(笑)高校化学に結びつけてコメントしてみました。

    Reply
    1. nabe (Post author)

      いつも参考になるコメントをありがとうございます!

      これぞプロフェッショナルというコメントですね。指摘のポイントは、塾のブログのコメントにとどまらせておくのはもったいないくらい!
      昨日からあまり時間が取れなかったので詳しくは検討していませんが、コメント内にある書籍は手元にあるので、簡単に確認だけはさせてもらいました。

      うまく伝わるかどうか分かりませんが、私は高校化学は”数学ではなく算数である”と感じることがあります。方程式や関数の観点から立式していくのではなく、比例などの関係から量を把握していくのが、何となく算数っぽく感じてしまうのですね。

      もちろん化学の中でも、その基礎理論はそういうわけには行きませんし、高校化学の中でもガチガチの数学の内容もあります。しかし多くの分野で、標準的なレベルでの理解をしようとすると、そう感じてしまうのですね。

      だから今回のコメントも、とても興味深く感じてしまいます。本エントリではありませんが、どうしても「未知数をxとおく」というのは数学っぽく見えてしまう。けれども比例計算で処理するのは、何となく算数っぽく感じられますからね。

      ・・・自分でも何を書きたいのか分からなくなってきましたが(汗)

      ということで、時間が出来たら私も解いてみたいと思います。私はどっちで解くのでしょうね(笑)

      Reply

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