ユークリッドの互除法への導入

ここ数日のこのブログの検索ワードに、非常に多く含まれているのが
「平成27年度センター試験」「ユークリッドの互除法」などです。
これは勝手な推測なのですが、全国の数学の先生の中に
「ユークリッドの互除法の使い方は分かる。ただしどんな問題を想定しどんな解説をすべきなのか」
を疑問を持たれているのでは無いかと思うのです。

確かにユークリッドの互除法とは、2つの整数(これはもっと多くても構いません)の最大公約数を求める、
一つの方法に過ぎません。
では実際に最大公約数を求められれば十分なのか・・・これはさすがに、センター試験などで
そのまま聞かれるとは思えません。

ならばセンター試験でどのような問題が出題されるのか。
・・・これは正直、私が教えて欲しいくらいです(笑)
ただし、ユークリッドの互除法を扱うにあたり、基本的な最大公約数や整数の性質を知っておかないと、
どのような問題に対しても対応ができないと思われます。
そこで今回は、ユークリッドの互除法を理解するためには、
その導入として何を知っておかないといけないのか、というお話を。

きちんとした代数的な意味を理解するためには、まずは整数をきちんと定義していく必要があります。
しかし高校生に整数を構築する手順を見せるのは、あまり効果的では無いでしょうね。
同様に、最大公約数や最小公倍数などをきちんと定義することも、難しい(というか教えにくい)ものだと思います。

そこで私が思う、最初の問題提起は次の内容です。

2つの整数a,bの最大公約数をdとする時、ある整数m,nが存在し、
 am+bn=d
と表すことができる。

この内容を”当たり前”のことだと思うかどうか、・・・ここが導入のポイントでしょうね。

この定理は、今までの大学受験においても”格子点”に関する問題などで、
頻繁に使用されていたものです。
ただし授業としてこの定理をきちんと勉強した高校生は、比較的少ないのでは無いでしょうか。

つまりユークリッドの互除法に対する導入や実際の問題を考える場合、全くの新しいものを
想定する必要はないのです。
それよりも「今まで当たり前だと思っていたことが、本当に当たり前なのか」ということを、
教える側も考えておくべきですし、それを生徒側に投げかけるべきだと思うのです。

ちなみに、上の定理に出てくる整数m,nを色々と変化させると、右辺の値も変化します。
しかし右辺の値は、なんとdの倍数しか出てこないんですよ!
(これは大学で「環」の勉強をしたことがある方なら、よくご存知だと思います)
逆にdの倍数を考えた時、必ずあるm,nが存在してam+bnの形に表すことができます。

実はこの考え方自体が、倍数(正確にはそれを抽象化した「イデアル」)の基本になります。
と言うことは、ここから約数や最大公約数のお話に繋がってくるわけですね。

実際の授業においては、こういう部分は教科書には出てこないものだと思います。
でも教科書の内容を教えるためには、こういう事を知っておくと便利であることは間違いありません。
そこでユークリッドの互除法などを一方的に教えるのではなく、
生徒と同じ目線で興味深く扱っていくことが必要なのではないでしょうか。

私も平成27年度からの入試問題で、どのような問題が出るのか楽しみでもあり心配なことです。
けれども実際のものが出てくるまでは、今できる限りの事を生徒に伝えていきたいと思います。
まずは教える側も、迷いを捨てないといけませんからね!

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2 Comments

  1. カワイ タカノリ

    am+bn=d
    の「=d」には「dの倍数」という意味が含まれるのですか?
    am+bn=dp
    などにする必要はありませんか?

    Reply
    1. nabe (Post author)

      コメントありがとうございます!

      非常に的を射た疑問だと感じます。こういう質問は非常に嬉しくなります。

      ここでの記述の大切な部分は、「ある整数m,nによって」am+bn=dとすることが出来るという部分にあります。
      そこでdpという形に記述する必要はありません。
      しかしご指摘の感覚は非常に大切なもので、確かに整数m,nを変化させることで「dの倍数」を作ることが出来ます。
      (M=mp,N=npとすれば、Ma+Nb=dpとなりますからね)

      もしもご興味があれば、少し古い本ですが
      代数系入門 (松坂和夫著 岩波書店)の第一章~第三章をご覧いただければ、
      より体系的につかめると思います。よかったらご参考までに。

      ということで、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

      Reply

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